打ち上げ花火横から見るか?下から見るか? 感想
- アーティスト: REMEDIOS
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- 発売日: 1999/08/07
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「先日打ち上げ花火横から見るか?下から見るか?」を鑑賞。
中々に楽しめたのだが周りの客が映倫の文字が出て場内に明かりが付くとどよめきが聞こえる。元々SNS経由である程度昨年の大ヒット映画「君の名は。」みたいなのは期待するなと前知識は得ていたのでそこまで動揺はしなかったのだが確かに公開規模や川村プロデューサーということに期待していた客ならばこの反応もある程度は納得もゆく。
とりわけ最後の結末部分をかなり視聴者に委ねている気もするし、どういった見方が正しいのか私も分からんところだ。
この作品の基となった作品、オムニバステレビドラマ版や奥菜恵主演の奴や文庫で出ている「少年たちは花火を横から見たかった」といったツールがあると少しは理解出来るのだろう。
Huluで現在奥菜恵版が配信されているのでこちらも見てみた。アニメ90分の尺に対してこちらは50分ほど。
そういうスタンスで感想等を書く。
・まずアニメ最大の特徴「もしも玉」が存在しない。
アニメ版舞台は「茂下」という場所であり「もしも」であることがかなり強調されていた。映画版は特に説明も無く分岐するのでアニメ版の方が親切かもしれない。私はドラマ版を見てないしその当時どういった前提知識で客が実写版見たのかは知らないが。
・犬カレー空間のダンス
ダンスシーンは私は好きだし、あの場面は親に振り回されるなずなは、その状況を打開してくれる王子様を待っているお姫様であることを端的に表現されていると思うので好意的に捉えている。
・時代設定がよくわからない
実写版で賭けのマンガがスラムダンク、やっているゲームはスーパーマリオでその時代の小学生を切り取っている。
対しアニメはマンガはワンピースと現代的なものを出しながらゲームはFCのキラキラスターナイトDX、学校はガラス張りの何か凄いプールとかスプリンクラーとか備え付けられていて最近の中学ってこんななのかと思わせられた。田舎なのか都会なのか、昔なのか今なのかよく分からず没入感が削がれた気はする。そういった不思議な世界を演出しているのならまあそうかもしれない。クビキリサイクルも2000年頭の設定にハイテクっぽい車イスに乗った女が出てくるが制作会社の趣味なのだろうか。
・少年たちの夏のお話が恋愛っぽいお話になっている
実写版は小学生の設定で男子はまだまだ子ども、女子の方がませて身長も男子を追い越してたりする時期でまさにそんな思春期の初めの少年少女たちのひと夏の思い出だ。終始典道はなずなに振り回され、なぜ彼女がかけ落ちするのかすら分からないままでいる。(もちろん視聴者は分岐を見ているので理由は分かる)。最後に花火は平べったいのか丸いのか「1人」を除き少年たちは知ることとなる。
アニメ版は中学生で分岐の記憶を引き継ぐもしも玉を駆使して典道がなずなの理解者として変化していく過程が描かれていく。
キスシーンもあるのだが流石に小学生のキスシーンは生理的にキツいということで中学生に変更が加えられたのだろうか。
・花火
平べったい花火や花火らしくない花火から有り得ない世界の演出に使われていた。
・ラストシーン
もしも玉の経験を経た典道は転校したなずなを追いかけて行きましたという結論に自分の中では落ち着いた。
・松田聖子の曲歌う場面
岩井俊二の「Love Letters」からなのだろうか。
今の中学生からも愛されているみたいでなにより。私も特に嫌いではないです。
という感じだ。確かに一般受けはしない(なのに公開規模はスゴい!)作品に仕上がってはいるが、かといって敷居が高いというか分かる人には分かるみたいなマニアックってほどではない。普通に俗っぽいと思う。
公開規模と売り方のせいで適合しない人が多かったのだろうし良くも悪く特筆するほど騒ぐ映像でもなかったと思うので大体の人は楽しめるかと思う。楽しめない人も入ると思う。そんな感じの作品だった。
感想おしまい。